本当の幸せとは? 7
しかし、この現地調査を終えても、調査官はこう言った。
「鑑定人の仕事は、自己裁量のできる軽微な仕事だ」と。
夫の受けたストレス、厳しい作業環境など、調査官にはわかってもらえなかった。
そのうえ、「大井埠頭での冷凍食品の検査をしていたときは、君津での鋼材鑑定業務をしていないのだから、過重労働ではない」と、非常識なことまで言ってのけたのだ。
官僚の無知うを無知とも思わない排他的な論理。
どういう基準で判断しているのか、想像もつかない非常識さ。
過重労働の立証責任が申請人にあることも、不可解なのだ。
労働にかんする専門の役所が、過重労働かどうかを判断できない場合は、「疑わしきは罰せず」の法則で、遺族を救済するべきではないのだろうか。
また、労災認定には、「医証」(労働基準監督局の医師の意見)が重要な役割を果たすのだが、亡くなった人間を直接診たわけでもなく、提出書類の熟読もしない一人の医師の書く数行が過重労働と発症の因果関係を示し、「業務上・外」の決め手となる。
カンラスの場合も局医の判断は「業務外」だった。
しかし、夫には支援共闘会議のほかに強い味方が現われた。
労基署の判定の出る直前、君津の製鉄運輸会社の係長、日本貨物検定協会の検定人からの陳述書を提出した。
また、同じ鑑定人も陳述書を書きはじめていた。
これらの陳述書は認定基準と合致していることを再確認でき、これが、夫の徹夜作業と、その過重性を立証してくれた。
なんだか、見方になってくれる人が出てきて良かったですね。